カタルはケネディクスの宮島さんを、嘗て、消極的だと批判しました。サンフロンティア、レーサム、トーセイ以上に収益を高められるはずなのに…何故か、内部留保を充実させ、目に見えない財務の修復を優先させたからです。カタルのこのイメージとケネディクスの実際の業績のギャップは、この不動産業3社と決算を比較すれば明らかです。
リーマンショック以前のケネディクスは収益の表面化に拘っていました。しかしリーマンショック後に、ダヴィンチが上場廃止に追い込まれる過程で、金融庁から苛められ、宮島さんは、相当…懲りたのでしょう。事実、あの当時は「風前のともしび」で…倒産状態でした。
何も…ケネディクスだけに限りません。森ビルも追い込まれました。あの当時の金融庁はバブル期の反省もあり、過剰に厳格な体制で、銀行に査定の見直しを迫ったのです。だっておかしいですね。限られた一部の不動産取引で生まれた、地価査定を元に、地価が下がったと言い…銀行に減損会計を迫ったのです。
しかし収益還元法では…投資利回りが5%以上に回り、充分に借り入れの利払いなどが出来ていたのです。つまり正常な貸出債権に対し、一部で存在した投げ売りの最安値を基準にして、不動産の価値を安く見積もれ…と銀行団に融資の見直しを、指導したのが金融庁でした。その為にダヴィンチは利払いが滞った訳ではなく、過剰な減損会計を適用され…仕方なく最安値で不動産を投げ売りして、借金を返したのです。
このような過剰な清貧思想が、日本経済を泥沼の二番底に叩き落としました。ある意味で日本は仕組まれた演出の二番底を演じた訳です。その状況が2009年~2012年に掛けてです。
失政に続く失政の為に、過剰な「流動性の罠」に、日本は陥り5年目を迎えます。その状況が一昨年から昨年のSUMOの設備投資の姿勢にも表れていました。ファナックが増産体制を整えても、今度は部品メーカーのベアリングやボールねじなどの生産が滞ります。此方の記事は、その様子を示しています。
「機会損失」を招いているのです。注文があるのに…商売ができません。冒頭のケネディクスの宮島さんの対応は、何も…彼だけに限りません。日本中が実質時代に慣れきっている為に、名目時代の対応に、経営を切り替えられなかったのです。
でもこのような報道があります。このレポートは、少しカタルのイメージと違う解釈ですが…今の株式市場の現象を上手く捉えています。良いですか、このレポートは将来的な相場の危険を察知する「炭鉱のカナリア」の可能性があると…今の市場の現象をネゲティブな見方で捉えていますが、カタルは、ようやく日本が本格的な名目時代に向かうから、その兆候としてポジティブな見方で「炭鉱のカナリア現象」が起きていると思っているのです。
炭鉱のカナリアは有毒ガスなどを人体に害が及ぶ前に…事前に知る道具として、炭坑内にカナリアなどの小動物を持ちこんだ話ですが、カタルは将来に、本格的な名目時代の相場がやって来る兆候だと思っているのです。紹介したレポートの解釈は違うようですが…。
カタルは「時代の観察」が、賢い投資行動の為には必要だと述べています。このロイターの記事とブルームバーグの異なる記事を合わせて読むと…これから訪れる新しい名目時代の相場も見えるように思います。
市場は、必ず、時代を先読みして動きます。後で現実が付いてくるのです。ロイターの記事は古いものです。一昨年の半導体業界を象徴しています。昨年の工作機械業界を象徴している現象です。ケネディクスの宮島さんを、カタルは、過去、批判し続けましたが、明らかに少し遅れましたが、昨年の初めから積極姿勢に変化しています。だから横浜の大規模開発に踏み込んだのです。
この理由は財務内容が大きく改善し…彼がリスクを取って大丈夫だと判断したからです。昨年2月にCREと資本業務提携を結んでいます。この辺りから、彼は変化し始めました。流石、一流どころのヘッジファンドです。エリオットは、その前後にケネディクス株を買っています。開発投資は時間がかかります。およそ最低2年は掛かります。でも儲けは大きいのです。これまでのケネディクスは消極的でしたが、今度は利益が湧きあがるようになると思っています。
カタルが、散々指摘してきた「流動性の罠」をテーマに本日の原稿は構成されています。余りに長かった失われた時代の為に、「実質根性」が日本中に蔓延しています。実質経済と名目経済の違いの意味を、充分に理解してないと…流動性の罠が理解できません。
工作機械業界で起っている受注残の山積みも…新明和を、何故、旧村上ファンドが狙ったか?…も、一連の流れです。新明和もダンプカーなどの受注が山積みになっていても…生産ラインを積極的に増やしていませんでした。本来なら新工場の建設も考えるべきなのでしょう。経営者は実質時代のままだから、新明和を旧村上ファンド系のレノが、株集めを開始したのでしょう。
ケネディクスが、何故100%以上の株主還元姿勢を示したのか? 流石、私募リートを通じて世界のファンドと繋がっている会社です。宮島さんも馬鹿ではありません。もし日本的な経営姿勢を貫くなら…確実にTOBの対象でした。彼は自社の価値は、もっと高いと認識しています。
まもなく…ロイターのような記事が、もっと多くなります。そうすると…日本の経営者は、ようやく変化します。カタルは昨日かな? ノルウェー年金と三菱UFJ信託の話しをレポートしました。この動きは、まだ「ハシリ」です。これから続々と…この動きに続く社会現象が生まれます。
本格的な名目時代が、やって来るのです。カタルは、何れ…ソニーの5%賃上げの意味を知ることが来ると述べています。全ての現象が「見えない糸」で繋がっています。相場論はこのように組み立てて行きます。自分が選んだシナリオが正しければ…必ず、応援する記事が、時代が進むにつれ…続々と登場し株価も上昇して行きます。
さて本日は、これから有料会員向けのレポートを書きます。本日は書き出しが早いので…夕方にはアップできると思いますから、会員の方は、後でお読みください。