アーカイブ:2018年1月7日

勝てば官軍

正月は温泉でのんびり…と過ごしたわけですが、「住友銀行秘史」と言う、元取締役の国重惇史氏が描いた暴露本を読んでいました。商社「イトマン事件」の背景を描いたものです。株屋にとっては懐かしい人物が、次々に登場し…バブル期の記憶が甦る読み物です。

何故、バブルが破綻したか? その内幕です。当時の銀行内部の動きが分かる実話です。結局、地上げの難しさが載っていました。カタルは1989年に上京しており、東京駅前の開発の現場を知っています。八丁堀周辺の開発も、当時の現状を良く知っていますから、開発の難しさが実体験として身についています。故にイトマンの南青山の案件が引き金になっている本の様相もよく理解できます。

バブル当時は、末端の証券営業だったカタル君は、地方で苦労して大手証券マンとの競争をしていました。先ず、個人の努力では、絶対に大手証券マンには勝てません。何しろ、バックオフィスの力が違います。新規発行のCBなど…地方の証券会社では用意できませんからね。株式の勝負でも株式部の体制が違います。野村の営業員が、桁違いの営業が出来るのが、当たり前なのです。簡単に大口も開拓できます。

でも歩合セールスになると…大手の野村も大和、日興、山一なども、みんな一緒の土俵で勝負です。カタルより水揚げを上げる社員は、誰もいません。みんな結局、会社のブランドを自分の実力だと考えて過信しているわけです。この国重氏も同じようなところを感じました。

でも、面白いですね。この本を読むと国重氏の考えが正しいとの論理で描かれていますが、時代環境により変化するのです。地価の120%貸し出しが、異常かどうか…は、結果論ですから分かりません。事実、1985年時分なら、正解で取引を拡大して英雄になれます。勝てば官軍の論理です。誰も敗者の論理など聞きません。

国重氏が渋谷東口支店長になり、預金高を50億から500億円にした逸話が載っていますが、確かに立派な成績ですが、住友銀行だから出来たのでしょう。有利な金利提供などいろんな手段がありますからね。カタルは名もない地方証券でしたから、会社ブランドの違いで競争に敗れた悔しさを知っています。バブル当時ならいくらでも…数字を伸ばせたのです。

国重氏は住友銀行のイトマンへの融資の在り方に、疑問を感じ、正義感をもって行動したようですが、もし時代環境が、もっと続いていたら…逆になります。イトマンへの過剰融資は成功し、イトマンがもっと大きくなっていたかもしれません。

正義とは何か…。たぶん政策も、そうなのでしょう。当事者は、自分たちの論理が、正しい道だと思って行動しているわけです。でも様々な要因が、連鎖して作る時代環境が、どう動くか…の視点が欠けています。正義の基準は、時代により変化するのでしょう。やはり「勝てば官軍」なのでしょう。

1985年頃の政策は非常に重要でした。竹下登は大蔵大臣としてプラザ合意に同意するのですが、何故、「体制転換」を図られなかったのでしょう。あの時にグローバル論理を持って行動を開始していたら…日本はアジアの雄になり、世界でも指折りの豊かな国になっていました。何しろ、中国は南巡講話の前の段階ですからね。

政策って、すごい力ですね。南巡講話は1992年の話ですよ。共産党国家でありながら、平等という概念を否定し、「富める者から先に豊かになれ」…市場経済の「トリクルダウン理論」を導入したわけです。この鄧小平の決断は、凄い価値があります。

現在の習近平氏もすごいよ。「一帯一路」政策は…中国経済を押し上げています。優秀な人物です。AI分野でも米国と競っています。日本は、ようやく浮上していますが、革新的な変化がまだ感じられません。安倍さんは、まずまずの及第点ですが、決して優秀なわけではないのでしょう。

まぁ、結果論は誰にでも評価できます。現在進行形の株式投資は、どれに力を入れるか…常に迷います。政策の決定も、同じでしょう。どの方向性に舵を切るか? 難しいですね。特に村論理の日本では、みんなが一緒の行動になります。だから起伏が激しくなります。

先ほど…バロンズの「インフレ上昇に備えた投資戦略」というレポートを読んでいました。このレポートは、カタルと同じ視点を持っており興味深く読みました。今年か…来年か、わかりませんが、必ず、急激な物価上昇局面が来るんじゃないかと言うカタルの推測を裏付けるというか…同じ視点を持っている人は、やはり、多いんだな。…と思いました。

だから…三菱UFJの株価波動も強いのですね。「多くの場合、投資家はインフレ率が実際に上昇する前に、上昇を確信している。しかしインフレ率に注目してない投資家にとって2018年はサプライズになる可能性がある」と結んでいました。

カタルが、今年、最も注目している分野でもあります。昨晩、遅くまで会員向けレポートを書いていましたが、その中で最終ランナーの「野村証券」の出来に注目している…と今の相場を雑感しました。

この真の意味は…まもなく全体相場の上昇も、勢いを失うというものです。だから最終ランナーの登場は、目先の相場の分岐点なのかもしれません。カタルの観測が当たるかどうか…。これは全体論の話で、個別銘柄の話ではありませんよ。

これだけみんなが儲かっているので、全体相場が休んでも…部分的な物色は継続すると考えています。仮に全体相場の躍進が、間もなく止まっても、下がるわけではなく、横ばいか…強含みの緩やかな上昇になるかも知れません。そんなに心配はしていませんから、勢いに乗った者が、勝ちかも知れません。どっちにしても…カタルの得意な相場環境ではなく、ハズレ屋の「へそ曲がり」屋の相場観ですから、当てになりません。

それでは…また明日。



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