最近、思うのは株式投資と言うのは中長期の環境(観測)より、目先の動向に大きく影響されると言う傾向が強いように感じています。
カタルの発想である「市場の整合性」の観点は、基本的には…もう少し時間軸は長くなっています。イメージでは、景気循環を考えた2年から3年程度の時間が相場観に影響を与えます。このサイトを始めた最初の推奨銘柄は「日揮」(1963)でした。石油精製プラントの会社で、最近では同業の「千代化」(6366)を手がけました。
プラント事業は、時々…読み違いがあります。今回の千代化はその事例で…過去、日揮も同様の間違いを犯しました。様々な理由があるのでしょうが…戦争などの「不慮の事故」の場合もあります。当初、結んだ契約金で仕事をする為に、工期が最低で2年以上に及び、一般的には5年程度なのでしょう。その途中で様々なリスクがあります。台風被害などの天候による遅延も発生します。為替相場もそうです。
話を戻しますが…日揮のケースは大赤字で株価が大きく沈みました。読者の皆さんは企業業績の良いものを、銘柄選択して探しますが…そんなものは、大概、市場は皆さんより詳しく株価が知っています。
ですが…カタルは「株価位置」を重視します。だから株価が低迷している株の中から未来の人気株を探すのが得意です。その代わり…時間概念がなかなか掴めずに苦労しています。日揮のケースは相場より1年早く手がけました。理由は原油価格が上昇して…石油プラント業界も潤うと考えたからです。事実、日揮の相場は1年後に本格上昇が開始されますが…数年間の株価上昇を交え、本格的に立ち直りました。株価は最終的に10倍近くなったのでしょう。
読者の皆さんは、「自分だけが知っている」と思っているニュースも、大概、市場は既にその情報を、株価に織り込んでいるものです。僕らの知り得る情報など…末端のカス情報です。ネット上に転がっている情報など、嘘もあります。故に様々な角度から見て、自分で検証をしなくてはなりません。
皆さんが正しいと考えている日経新聞の情報も、「新聞の観方」を知らないと騙されます。カタルは何度も辛酸を嘗めています。2日前まで大幅増益を謳っていたのに…「蓋を空けたら」大幅減益で2日間の連続ストップ安を経験した「ミツミ電機」など…そのような経験を積んで…新聞の書き方、読み方を学ぶわけです。
新聞は、事前の「観測報道」を良くします。しかし現実は違うのです。また世相を探るアドバルーン報道もあります。決定ではないが…世論の反応を見るために、「水面下の案」を、さも決まったように報道するやり方です。
官僚が世論を誘導する目的で、新聞を利用することもあります。自分達の意見が正しいと世論を誘導する目的です。経験を積むと…様々な嘘とは言いませんが、真実とは、かけ離れた報道をよく見ます。
グラフも同じです。採用期間により、人々の与える印象度は分かります。データと言うのは観察期間が長いほど信頼性が高まります。1年や2年より、5年、10年です。昨日も東証の一部単純平均株価のデータが1998年から…しかないことをカタルは嘆きました。
何も東証だけでなく、日銀も同じです。今回のような失政を検証するために50年、100年単位、あるいは江戸時代などに遡って…様々なデータの検証が必要になります。
でも日本人の習性と言うか…文化でしょうかね。日本は建物も良く破壊します。歴史的な建造物などは一部保管されますが…大概は使える建物も破壊して新しく立て直します。しかし欧州は違います。イタリアのホテルなど古い建物が多く、あまり快適とは言えません。奈良ホテルの旧館のようなものです。
やはり木造住宅の為、歴史的な感覚が欠如しているのか…文化なのか…兎に角、自分で昔のデータを探して見ようとすると…直ぐに壁にぶち当たります。確かに時代に合わせて…データの収集のやり方も変える必要性がありますが、同時に昔のデータも大切にして掲載すべきです。
昨日、カタルは日本株の検証として3つの違う指標を掲げました。時価総額と日経平均株価と東証一部単純平均株価推移です。ここで整合性の観点から単純平均株価を230円台と昨日は述べましたが、誤解があると困りますから…このデータは2015年9月に1000株から100株に変更して…7月現在は2403円になっています。単位株の変更です。カタルはバブル期との比較をした為に230円台と書きました。
話は逸れましたが…新聞報道と言うのは注意して読まないと、更に…同じ内容の記事を、新聞社を変えて様々な視点で…検証をしないと正しい真実が分かりません。どうしても書き手により…データの期間も同じグラフでも、縦横の比率を変えるだけで…読者の印象度は変わります。
例えば…「バルチック海運株指数」です。皆さんは一般的には、こちらのサイトのものを観るのでしょう。同じ指数でも、その意味(中身)を知っていますか?
解説によれば…「ケープ型の比率が40%、パナマックス型が30%、ハンディマックス型30%の割合で…乾貨物(ドライカーゴ)を運搬する外航不定期船の運賃を聞き取り、結果を取りまとめて同指数を算出して発表する。基準となる1985年1月4日を1000として算定している。」となっています。
今、話題になっているコンテナ船相場とは、違うものです。船の違いも事前知識がないと駄目です。此方のサイトは勉強になります。コロナで港湾作業が遅延して荷動きが滞り運賃が上がっているなら…何もコンテナ船だけでなくドライカーゴも同じ条件です。ようやく…このバルチック海運株指数が上昇を開始しました。しかし原油を運ぶ…石油タンカーは一般的な港湾設備は利用せず、専用の港を使いますからその運賃を示すワールドスケールは影響を受けない筈です。
50年前の三光汽船の相場の時はたぶんこのワールドスケールが暴騰して、タンカーの造船価格も上昇して、その船価を材料に三光汽船は大相場に発展したのでしょう。2006年から2007年の商船三井の相場は鉄鉱石などの鉱山資源を中国が大量に購入していた為、行き過ぎた金融活動の為に起こった現象でしょう。リーマンなどが破綻したほど…世界中に「信用供与」が「ばら撒き」されました。今回は中央銀行です。
そもそもこれだけ…世界中の中央銀行がお金をばら撒いて…インフレが起きないのが不思議です。この為にカタルは先読みし過ぎて…野村で躓きました。読みは難しいのです。
話を戻しましょう。ようやく…バルチック海運株指数が損益分岐点を超えて上昇してきたことが分かるのが、この期間の長いグラフです。この4000以上の数字はかなりの利益が生まれることが分かります。
前半戦の船株相場は、どちらかと言えば…海運不況で倒産企業が生まれたように2017年10月に国内の3社のコンテナ船部門が統合されONEが誕生しました。韓国の大韓航空グループの「韓進海運」は2017年2月に破産をしました。日本でも第一中央汽船、ユナイテッドオーシャン・グループが会社更生手続きをしました。
そうして淘汰された後に、生まれたONE(2017年10月誕生)の利益を買った相場ですが…これから「ドライカーゴ」もこの動きに加わるか、どうか…が注目されます。故にここに来て「商船三井」の上昇率が大きくなり、主力になったとも言えます。高水準のコンテナ船の相場を買うか…。それとも、これから上昇を見込んでドライカーゴ、つまりバルチック海運株指数を観て…商船三井を狙うか? 見方は分かれます。
仮に…コンテナ船だけでなくドライカーゴも加わるなら、海運株の相場は更にスケールアップする可能性もあります。ですが…コンテナ船の相場を見ても分かるように…欧州向けの運賃が特出されているという事は、スエズ運河の座礁事故の影響が長引いているとも言え…この観点だけを観れば…相場はクライマックスが近いとも言えます。読みが、難しいでしょう。
本日は、3つの海運運賃を示すグラフを見て…自分なりに考えてください。
最後に三菱UFJリースと日立キャピタルの経営統合により発足した「三菱HCキャピタル」(8593)は、米国の大手海上コンテナリース企業CAI International, Inc.(以下、CAI)の全株式を取得し、完全子会社化することを発表したのが6月18日でした。この話は三菱グループの総合力を示すものです。果たして…どうなのでしょう。こういう背景があるから…ONEの競争力が高く粗利が大きいのかもしれません。
相場と言うのは面白いでしょう。様々な観点から総合されて株価が創られていることを理解して欲しいのです。自分がどの説を信じるかはそれぞれ読者の勝手です。この一過性の利益をどう評価するか? カタルは最初から博打株評価ですが…この時期に相場が誕生しているから面白いですね。それでは…また明日。