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カタル:今日の市況は「お休みモード」ですね。基本的に金融相場の原点である金融規制緩和に対しても懐疑論があり、すんなりと事が運ばずに…様子を見ながらの展開になる為でしょう。まだ本格的なファンドの買いは見られず、あくまでも「空売り筋」の第一弾のポジション訂正との印象です。

カタルは、この間隙を縫い材料株が物色されると踏んでおり、候補は変化率の高い大型材料株(ここではシャープやオリコを選択)、更に好業績の半導体(でもカタルは来年が本番と考えています)、そうして、もう少し全体のボリュームが下がると…スマート関連の小型株(ここではクラウドワークス)などが候補の株式です。

でも本流は、あくまでも金融相場ですね。三菱UFJを筆頭に、銀行・証券・不動産の3点セットであり、カタルは、前から「1300兆円の逆襲」として、ケネディクスを掲げています。実は本日も500株だけ買い増ししています。どれを選択するかは読者の自由です。

ただ通常は、1~2週間程度しか、本命筋は休まない筈です。つまり休みではなく…これまで下値で持っていた人の利食い時間の調整です。既に三菱UFJは18日の高値691円を、昨日は697円と更新しています。テクニカル上の目安として、18日の出来高が204百万に対し24日は152百万株なので、玉が吸い上がっているのが確認できます。誰かが確実に実弾で買っている証拠でしょう。

まぁ、そんな事はどうでも良い話で…、本日は、もっと大切な話をしましょう。カタルは何度も「流動性に罠」の話を展開しています。この意味は、どういう事?と、皆さんは疑問を抱きませんか? 識者も、なかなか解説しません。本来なら日経新聞が、丁寧に解説すべきですが…記者も、なかなか理解が進んでないのかも知れませんから…カタルなりの解釈を、ここで披露しておきます。

マネタリーベースとマネーストックの残高推移と信用乗数(右軸)

マネタリーベースとマネーストックの残高推移と信用乗数(右軸)

グラフはマネタリーベースの平均残高とマネーストック(M2)の残高推移と信用乗数(貨幣乗数=マネーストック/マネタリーベース)の推移です。通常、信用乗数は10倍程度と言われますが…、バブル崩壊以降、この乗数効果は下がり続けています。これを観ても分かるように…貨幣乗数はここに来て、急速に低下しています。「流動性の罠」とは、こういう現象を言います。通常は日銀が量的緩和を実施すれば…お金が動くのです。でもなかなかマネーストックの増加に繋がりません。

事実、1985年1月~1999年3月までの平均の信用乗数効果は12.08倍です。つまり古き良き時代、資産インフレ効果を認めていた時代の貨幣乗数効果は12倍となっており、確りと金融機能が稼働していました。通常の状態なら、黒田さんが言うように…マネタリーベースを増やせば…マネーストックも増えるのが、当たり前の理屈なのです。

ところが…いくら日銀が笛を吹いても人々が踊らなくなったのは…小泉・竹中改革などの清貧思想の浸透ですね。何しろ、大銀行のUFJが消えたのです。消えた理由は、不良債権を巡る解釈の違いです。サラ金業界は、みんな倒産だったのですが…銀行が資本を注入して正常化したのですね。まもなくオリコも復配を実施し正常な企業に戻ります。

でも金融庁はこのようなUFJの論理を認めませんでした。そうして頭取の首を取ったのです。そればかりか…銀行そのものが消滅ですからね。これに金融界は、震え上がり…みんなイエスマンだけが、市場に残りました。アホらしくて…営業なんかできないから、仕事ができる奴は、みんな金融界を去りました。

その清貧思想の徹底ぶりが、現在の「流動性に罠」を生んだのですね。日銀がリートを買い、株式を買って元本保証をしても…だれも見向きもしません。逆に日銀批判が溢れています。これが現状です。故に当座預金に303兆、企業の現預金残が242兆円も、貯まる訳です。ようやく…金融庁が方針転換をしたのが、今年に入ってからの話です。このような厳しい金融規制の谷底を脱出していたところに…、此処で、金融規制緩和派のトランプ政権の誕生です。

マネーストック(左軸)とマネタリーベース(右軸)の前年伸び率推移

マネーストック(左軸)とマネタリーベース(右軸)の前年伸び率推移

次のデータは、近年のマネタリーベースとマネーストックの前年比の伸び率のグラフです。それでも連動はするのですが…もともと国債だけを買っていても物がないですからね。何故、日銀が金利重視に方針を変えたか? ないものは買えませんからね。物理的に不可能なのです。本当はリートをマイナス金利まで買えば良いのですが…そんな度胸は黒田さんにはないようです。ETFは多少増額しましたが、此方も既に、裁定買い残も、信用買い残も少なく、空売りが多い状態なので、国債と同じく、株式も、もう残がありませんね。

現状が理解できたでしょうか? ここでトランプ政権が誕生したので…、一気に自己資本比率規制のタガが外れます。ただFRBの選考委員は、確か…2名の増員ですからね。法律を変えるか…どうか。しかし共和党は、もともと小さな政府を主張し…金融界には自由を求める政党です。だから疑問符は付くでしょうが…清貧思想の民主党政権より、ずっと良いですね。米国も安倍政権の誕生と同じ状態なのでしょう。日本は米国より先にバブル崩壊があり、先行してグローバル化(空洞化)からの構造転換を図っています。

トランプ政権の評価は、難しいのです。彼はグローバル化を否定し、二国間交渉を謳っていますが、中国は手強い相手ですよ。日米同盟の絡みもあり、日本の米国との交渉は難しいでしょうが、安倍さんの手腕に期待する限りです。今日は半導体と大阪チタンなどに流れているようですね。でもカタルの見方は変わりませんね。今、安くなってきたクラウドワークを940円で買ってみました。昨日も引け値で買い、本日も買っています。他にも…多くの銘柄を買いましたね。冒頭に掲げた銘柄を買っています。

邦銀株が水準訂正したことで…全体のボリュームが上がっており、通常は大きく下がる筈の調整も、どの株も下値が限られます。全体のボリュームが上がっている為に、誰も慌てて売り急ぐことを、しないからですね。つまりカタルと同じように、買い余力がドンドン増えているのです。人間と言うのは、儲かるようになると、強気になり…踊る動物です。みんな一緒です。だから弱く見えた所が、買い場になるのでしょう。自分の力量を把握され、相場に臨むと良いのでしょう。

此処での注目点は…マネーストックの伸び率が、継続して上がっていくかどうかです。積み上がった現金が、実際に動き出すかどうか…により、金融相場のスケールが決まります。まだ本当に「転換の際」に、相場は位置しています。「流動性に罠」を脱出する金融相場は産声をあげたばかりなのです。オギャ~、おぎゃ~。



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