過去、日本は「株式持ち合い株制度」を通じての「安定株主」を背景に、経営権は安泰だという事で、真剣に経営をしない企業が、最近まで…多くありました。しかし…「スチュワードシップ・コード」、つまり責任ある機関投資家の指針の導入により、機関投資家にも、持ち株の経営に対し…ちゃんと「審査」をしているか? と言う基準が設けられ「議決権行使」にあたり…その責任が問われるようになりました。
その為に「議案」に対し…公正な目で指針を決める外部機関も誕生しています。例えば…米国のISS(Institutional Shareholder Services, Inc.)、 グラスルイス(Glass, Lewis & Co., LLC)が大手の議決権行使「助言会」社として…知られています。
つまり…公正な観点で株主権を行使しないと「社会的な批判」を浴びる訳です。今ではすっかり…このような上場企業は、真剣に経営する姿勢が求められており…会社を「私物化」することが出来なくなってきました。
しかし…少し前は株価が1000円していても…額面が50円だから「その2割配当だ」と…たった10円の配当でも、文句を言う社会ではなかったのです。その為に会社を「私物化」する…経営者は多く居ました。そこに登場したのは「ものをいう株主」の存在です。最近では経営方針に対して、いちいち…注文を付けます。「セブン&アイHD」(3382)のケースは難しい判断です。
井坂社長のやり方も、認められる…可能性が在りました。しかし「ものをいう」株主は、経営資源をスーパーなどの非採算部門から、利益率の高いコンビニ事業に移行させろ…と言うものが…今回の騒動の発端になりました。そこで…井坂社長は。この意見を取り入れて…西武百貨店などの売却に動き…イトーヨーカ堂などのスーパーも、利益率の低い店舗の閉鎖に動き…「徐々に」移行させようとしたのです。この経営のスピード変化が「遅い」と株主総会で…揉めました。だから…「株価位置」が低いままだと、「ものをいう」株主は、言うのです。
ここで…カタルが野村証券の奥田さんを、批判したのを覚えていますか?
アルケゴスの損金を、前年、次の年と期を分けて…2期に渡り「損失計上」し、それから好業績を支えにした「リストラ」を実施しました。いずれも「決算期」を跨いでいます。3期に渡り…徐々に…変化させました。
でも日産自動車のカルロスゴーンは…一気に特別損失計上をして、その決算期に次年度で発生する予定のリストラ経費まで、前年の決算に、「無理やり」次年度の経費を前期に押し込んで…「V字型」回復を演出して…実際に、そのように立て直しました。このやり方に当時は批判が多くありました。でも実際に会社が立ち直ると…逆にメディアに持て囃されて…称賛の嵐でした。
日本の「成田時間」の経営行動と…「世界基準」の違いです。
このチンタラした時間に対し…海外からおかしいから…自分なら、もっと早く改革できると言って、「TOB」を掛けようとしたら、最高裁判事の林さんは、その行動を批判して会社側の言い分を飲んだのが…「東京機械」の事件です。
先ずは、「ものをいう」株主が株を集めました。そうしたら…その過程で、東京機械はものをいう株主の「議決権を認めない」申請をするのです。折角、株主になっても、同じ株主でも「ものを言う」株主の「議決権」を認めないという判決を下したのです。完全な「後出しジャンケン」です。
だって…ものをいう株主は、安値で株価が放置されているから、「おかしい」…自分達ならもっと、うまく経営できると言って、株を集め…TOBまで考えていたのです。それなのに、もともと…安値で株価を放置させている経営者が「怠慢」なのに…日本の最高裁判所の判事は、その怠け者の経営者を支持する判決を下しました。
過去、「ブルドックソース」も同じようなものです。真剣に経営資源を活かした経営をしてないのに…公開市場は「他人の金を入れる市場」なのですよ。上場企業と言う事は、そういう事です。この真剣に「経営しない暴挙」を許せば、当然「市場価格」は歪みます。だから「金融庁」はイギリスの事例を参考にして「スチュワードシップ・コード」の導入に踏み切ったのが2014年でしょう。10年間も掛かり…ようやく板についてきた感じです。このような感覚の10年も掛かる時間が「成田時間」である…日本の「村社会論」です。
論理的には「日本製鉄」が、「USスチール」を買収されるのを「嫌う」なら…逆に、株価が安い「日本製鉄」を買収すれば良いのです。逆TOBです。これをゲームのパックマンに、なぞらえる…(見立てて…)パックマン・ディフェンスと言うそうです。
それが資本論理です。米国政府のファンドが出来るそうですから…その米国のソブリンウェルスファンド(SWF)が、日本製鉄の株主になれば良いのです。もともと…橋本さんが「内部改革」を怠り…安い「PBR」に甘んじているので、買収されても仕方ありません。
最近ようやく…「ROE経営」が、盛んになって来ました。そもそも…野村証券の奥田さんは株価が500円台で低迷しているときに、野村総研などを利食いして…その資金で自社株買いをしましたが、金利が安く…理屈に合うので、銀行から「兆円単位」の借金をして…自社株を買えば、良かったのです。あるいは、自らが社債を発行して「自社株」を買えばよかったのです。そうすれば…純資産が1000円なら500円で株を買えば…あっという間に…2倍の「投資効率」です。理屈上は7%以上の資金効率ですから、3%で資金を集めても充分に合います。
証券業を商売にしている会社が、PBRの1倍も回復できないのは、明らかに「怠慢」です。それなのに…自分達の役員報酬を、先に引き上げたのです。株主を軽視して…自分達の利益を優先させたのは、株主総会で「糾弾される」のが…当たり前でしょう。だからカタルは長く「奥田」批判をしました。この程度の業績は、今の外部環境から観れば…「誰がやっても」達成が出来る水準です。
ここで…日本の村社会の時間軸と国際ルールの時間軸が違うという事が「セブン&アイHD」を観ると分かると思います。井坂さんがやっている経営スピードは、野村証券の奥田さんが選択した時間軸です。でも世界基準は日産自動車を立て直した「ゴーン」の時間軸なのです。
何故、その功労者が、「ルノー傘下」を目論んだために…追い出されたのでしょう。確かに会社の「お金の横領」と言えば…そうなのでしょうが、日本的な仕組みに合わせた搾取にゴーンは合わせたのです。
これが東京地検の判断で「犯罪」になるなら…多くの高級官僚が、退職後に関連する天下り組織に行って、ゴルフ三昧で…高給を貰い続けて、2年、3年で渡り歩く…仕組みは許されるのでしょうか? 社長を退職して院政を張り…会長職に…そうして、その後は相談役、更に顧問など…会社から「搾取する」のも可笑しい筈です。
それなら、堂々と…社長時代に実績に合う報酬の10億円でも20億円でも貰った方がスッキリします。それなのに…自分達の現役の給料が2000万円だから…1億円以上も貰うのはおかしいと…言って報酬額を発表させるのです。これが村社会論理です。
陰に隠れてメディアを操って…仲間は守るが、「別の考え方」をする奴は、痛めつけるのが国家権力です。だから「江戸の敵を長崎で討つ」と言う言葉があります。
市場原理は、「公平」でないとなりません。PSRもPERもPBRも…客観的な基準に従って株価が決められるべきでしょう。だから、カタルは最高裁の「東京機械」の判決を下した…林さんに、噛みつきました。彼の判断は、「東京機械」だけに…留まりません。
彼の判断は、「どうせ…僕ら(海外ファンド)が、株を買っても」また、日本は「だまし討ち」をするから…株は買えないとなります。
世界から日本に、ジャンジャン…お金が流れるのが、正しいのです。東京のマンション価格は世界基準に比べて安いから、中国人が、バカバカ…マンションを買います。ドンドン…日本人は劣化しています。先ずは「市場」を糺さないと…資金が正しく動きません。
何故、5%の「配当利回り」の企業の株価が、ゴロゴロしているのでしょう。4%台まで落とせば、もっと増えます。更に…3%台になると…自己資金がなくても、買収する会社の資金で、時価総額が賄えます。
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此方の企業は小さいから、公に出来ませんが…確かに企業業績は悪いのですが…自己資本比率は87.9%で、借金は1400万円ですが、現金が126億円もあるのです。この時価総額が、今、いくらか分かりますか? たった64億円なのです。仮に買収できるなら…2倍でも充分に合うかもしれません。いくらでも…同じような会社を挙げることができます。
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昨日の検索リストが上のものです。…「見直し買い」が入るのは…高利回りで「低PBR」銘柄のようです。昨日、決算発表をした中で…「ROE9%以上を達成するまで」…60%を超えている自己資本を55%まで圧縮するとして…例のDOE基準を8%程度にするとした「西川ゴム」(5161)の水曜日の株価は、たぶん…ストップ高でしょう。
なんと…期末の配当を178円もするそうです。このDOEと言う「株主資本配当率」が、新しい…最近の流行の「言葉」です。配当を高めて3%基準を打ち出す企業が多い中で…なんと8%ですよ。
これが「スチュワードシップ・コード」を、安倍首相が「取り入れた」成果なのです。ようやく…始まるのです。
日経新聞も、その解説をようやく…し始めています。此方です。昨日はROE経営の日経新聞を褒めました。本日はこのDOEを解説する日経新聞を、褒めねばなりません。
今の時代が、ようやく…新しい扉が開くとしたカタルの「ワクワク感」が…みなさんに伝わりますか?
カタルは1989年に上京して「希望を抱いて」サラリーマンを辞めて 上京しました。その時にいきなり…歩合セールスは大変だから、和光証券の常務から「先ずは社員として、雇うから、基盤を創ってから独立をしたら? 」と親切な言葉を頂いたのです。
しかしこの性格です。「いや、自分が出来なければ…証券会社が潰れます。」そんな時代は、絶対に来ませんから「大丈夫」です。そういって、歩合社員として…入社しました。しかしその2年後、和商証券の副社長をしていた…当時は、子会社の和光不動産の社長だった小川さんから…こう諭されます。
「カタル君、残念だったね。」と…開口一番です。今回の不況は、証券不況の昭和40年とは全く違う、何しろ都市銀行が壊滅しているから、当分駄目だから、田舎に帰りなさい。…と諭されます。でもカタルは、「この糞オヤジ」…俺が食えなくなるなら、証券会社は潰れるわ…と心の中で「毒づいた」のです。その5年後に「山一証券」が実際に倒産をしました。小川さんが、1992年に言ったことが、本当になりました。
苦節、35年間の悲哀の人生です。ようやく…ここまで来ました。「DOE」で8%ですよ。株価は2237円ですが、178円の配当を実施するそうです。そうして、過剰な自己資本比率を落とすのだそうです。これが普通の感覚の経営者です。
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先ほど紹介したS君の株価は、ようやく上がりそうです。チャートも付けて置きましょう。何故、こんなバカ株価が生まれるのでしょう。日銀総裁は、石破総理はこの事を知っていますか?
日経新聞が、ちゃんとした紙面を、創らなかったから…35年間もの「悲哀の人生」を歩むことになったのです。どのメディアも、同じなのです。「記者クラブ」だ…ものね。みんな仲間です。真実を、正しい報道をすれば…もっと早くに株価は「新しい時代」の扉を開けることが出来ました。安倍さんが「草葉の陰」で、日本を見守っています。今回のインバウンド需要も「彼の功績」です。この後の「農作物」も同じです。
正しい報道をしましょう。このDOEやROEの報道を、ジャンジャンすれば…やがて日本の経営者も、過剰な内部留保を貯めず…総還元性向は100%になるのでしょう。それが上場企業でしょう。また…明日。